第174章

「美代さん、お母さんのお墓があの二人の狂った女に荒らされたよ」

堀田一郎はそう言うと、すぐに慰めるように続けた。

「焦らないで、霊園の人たちがもう修繕してるから」

ぱたりと音がして、渡辺美代の手からスマホが落ちた。堀田一郎のその後の言葉は、彼女の耳には全く入ってこなかった。一瞬にして思考能力を失ってしまった。

今、彼女の心は憎しみで満ちていた。あの母娘を絞め殺して、お母さんのお墓の前に引きずっていき、罪を償わせたいとさえ思った。

違法なことは、できない。

渡辺琴美の車の事故については証拠が見つからないままだったが、あの悪辣な母娘がお母さんのお墓で暴れたのは...