第166話

アローラの視点

激痛が体中を走り、薬が血流に乗って全身に広がっていった。薬は私の血流に魔法を注入しながら体内を巡っていた。これが意識を取り戻した時に最初に気づいたことだった。私は薬の正体と、それが運んでくる魔法が私の体に何をしているのか集中して観察した。薬はまず私を麻痺させ、意識を奪い、その後に仕掛けられる魔法を私が自然に遮断する能力を阻止したのだ。

魔法を感じると、セレナとジーナを拘束する鎖が巻き付いているのがわかった。それらは彼女たちを元々捕らえていた鎖ほど強力ではなかった。もし私に力があれば簡単に壊せただろうが、それこそが薬の目的だった。残された魔法には黒魔術の気配があった。...