第34話

アレス視点

僕らの番が眠りについた瞬間、俺は兄と視線を合わせた。「やったな」と僕は彼女を起こさないように囁いた。「ついに僕らの番を見つけたんだ」

「ああ」とエロスが囁き返す。彼が僕らの番を抱きしめながら、小さな微笑みを浮かべている。眠る彼女の表情は柔らかい。「これで誰も彼女を奪うことはできない。あの子犬のアルファ・ジェイコブでさえもな」

ジェイコブの名前を聞いた途端、ゼウスが唸るのを感じる。「落ち着けよ」と僕は警告する。番を起こしたくないからだ。「奴は番を傷つけた、罰を受けるべきだ」とゼウスが怒りを込めて唸る。「そうだな、いずれはな。だが避けられるなら戦争は始めたくない」と伝え...