第41話

三人称視点

唸り声と咆哮の音に、誰もがただ見守ることしかできない。アレスと放浪者が勝者を決めるために戦いを繰り広げている。「遅すぎるよ、子犬ちゃん」と放浪者は明らかに楽しんでいる様子で挑発し、二人とも一歩も譲らない。

「そう思うな。そもそもお前は何者だ?」とアレスは知恵比べのゲームに飽きてきた様子で言い返す。

「俺?俺は放浪王だ。そして彼女は俺の女王だ」と狼は笑みを浮かべ、その目はアレスの顔から離れない。放浪王の名前を聞いて、恐怖が徐々に彼の胸に広がっていく。

「放浪王?」とカイも今やその狼に注目している。

「ああ…俺はすべての放浪者たちのリーダーだ。最後の一人まで全員のな。...