第6話

アレス視点

今日は他の日と同じように始まった。エロスと私は日課のトレーニングを終えたところだった。私たちは一卵性双生児で、次期パックのアルファになる予定だった。双子なので何もかも分かち合うのは当然のことで、23歳になった今、父は私たちに次期アルファになることを考え始めるよう望んでいた。

「もっと悪いこともあるさ」とエロスが言った。彼は地面に足を組んで座っていた。トレーニングはとっくに終わり、闘技指南役は自分のメイトを探しに行ったので、そこには私たち二人だけがいた。

眉を上げてエロスを見る。私たちの深い青い目と黒い鴉色の髪は汗で湿っていた。ここ数ヶ月、父を誇らしく思わせたいという思...