第8話

アテナの視点

「もうすぐ終わる?」とディアナの声が響き、私はほとんど驚いてしまった。目の前の仕事に集中しすぎていたのだ。その仕事とは舞踏会場の飾りつけ。今朝、すべての装飾を私が担当するよう言い渡されてから、厳しいスタートを切っていた。

「もう少し」と私は言いながら、小さな細部の作業を続けた。部屋の端に配置されたテーブルの装飾だ。そこには夜の舞踏会に訪れるゲストのための食べ物や飲み物が置かれることになっている。

「早くしなさいよ」とディアナがピシャリと言い放ち、私の注意を引いた。私の視線は彼女の首元に向かい、そこにあるキスマークに留まった。あのキスマークはジェイコブからのものに違い...