第50話

手を洗って拭いた後、私はバスルームを出た。廊下にいたのは、私と同じように酔っ払った二組のカップルだけで、彼らは明日世界が終わるかのように真剣にイチャついていた。

音楽の音に導かれて戻ろうとしていたとき、後ろから足音が聞こえたが、特に気にも留めなかった。

突然、荒れた手が私の腰に回され、立ち止まらされた時、私は息を飲んだ。振り向くと、アルコールとタバコの臭いが鼻を突いた。見知らぬ男がニヤリと笑う様子に嫌悪感が走った。私は彼の手を腰から引き剥がし、眉をひそめると、彼の顔から笑みが消えた。彼の目が暗くなり、不気味で危険な表情に変わった。

「こんな美人が一人でいるなんて。どこか静かな所に行かない?二...