第61話

シン視点

私はマニをベッドルームに残して、キッチンへ向かった。敷居を越えた瞬間に自動照明が点灯する。真夜中を過ぎた時間だが、この夜は永遠に続いているように感じられ、ベッドに潜り込んで数時間でも眠りたいと思うばかりだった。

代わりに、壁に沿ったサイドボードにあるデキャンタを手に取り、グラスにたっぷりとウイスキーを注いだ。琥珀色の液体がクリスタルグラスに満ちていくのを見つめる。彼女が逃げ出そうとしていた事実にまだ腹を立てていた。

私たちの関係は良くなっていて、彼女もようやく私に心を開き始めたと思っていたのに、代わりにジェイソンから彼女の失踪について連絡を受けたのだ。

彼女がしたことに対して...