第82話

シンは昨夜とても遅く帰宅した。私は彼を待っていたけど眠ってしまい、彼が何時に帰ってきたのかさえわからなかった。今、彼の腕の中でさらに深く体を寄せると、彼の温もりを感じた。

私はゆっくりと目を開け、窓から差し込む日の光に目を慣らした。見上げると、真っ直ぐ私を見つめる黒い瞳と目が合った。

「おはよう」と私は小さく囁いた。

「おはよう、プリンセス」彼のハスキーな声には未だに慣れない。いつも私の心を揺さぶってしまう。「よく眠れた?」とシンが尋ねた。

「うん、昨日あなたを待っていたんだけど、いつの間にか寝ちゃったみたい」と私は正直に答え、口を尖らせた。

「ごめんね、アモーレ。かなり遅く帰ってき...