第32話

ローレルは声のする方向を振り向くと、廊下に立っている魅力的な若い男性が驚いた様子で彼らを見ているのに気付いた。彼は金髪に薄いグレーの瞳を持ち、背の高さはバジルと同じくらいで魅力的だったが、アドルフの魅力には及ばないと感じた。貴族的な雰囲気はなかったが、非常に魅力的なオーラを放っていた。ローレルは彼にどこか見覚えがあるような気がしたが、確信はなかった。

ローレルを押さえていたメイドたちは言葉に詰まり、恥ずかしさに圧倒されているようだった。ローレルは彼女たちの手から逃れ、哀れにすすり泣いているサラのところへ行き、彼女の横にひざまずいた。

「大丈夫?」

サラは震えながら、うるんだ目で顔を押さえた。...