第9話

エマ

王子は私の顎をつかんで私を黙らせる。私は彼の太く筋肉質な腕をつかんで引き離そうとするが、彼はびくともしない。私は懇願するような目で彼を見つめる。彼は親指で私の下唇をなぞり、私の視線を捉える。

彼の目には、私を禁断の領域へと引き込む熱がある。彼の目は曇り、怒りから誘惑的なものへと変わる。それは私の合理的な思考を霞ませる。彼の目に宿る何かが私を魔法にかけ、私の体を彼に近づける。「狼人は魔法をかけることができるの?」彼の体重が私の上に重くのしかかる。彼は私の顎から手を離し、唇を私の顎から首筋へとなぞるように下ろしていく。

彼の触れ方は、強引で力強いものから、ゆっくりと誘うようなものに変わ...