第123話

「いいえ」

それが私の口から出た唯一の言葉だった。いとこの目をじっと見つめながら。彼は瞬きひとつせず、揺るぎなく私を見返し、彼が最後に発した言葉が私たち二人の間に宙に浮いていた。

信じるわけにはいかない。信じられない。彼が今話したことは何一つ筋が通っていない。そして、もし何か狂った、理解できない理由で本当だとしても、マドックスはすでに私に話しているはずだ。

結局のところ、昨夜彼と話したばかりなのに、王妃候補とか、コンテストとか、彼との結婚を競うために城に来る新しい女性たちについては何も言わなかった。

いいえ、信じない。それが真実だという考えすら頭に浮かべることはできない。もしそれが本当な...