第201話

アイラ

前足を伸ばして前かがみになる。変身するのは至福の感覚で、マドックスが私にもっと頻繁に変身すべきだと言ったのは全くの正論だ。それに、これから二時間は自分だけの時間がある。まあ、私とイライジャの時間か。

彼は私の後ろをうろつき回っている。輝く琥珀色の目を持つ巨大な黒狼だ。彼の毛皮は厚いが傷跡で損なわれており、彼の暗い過去を垣間見せている。この一時間、彼は私の後ろをついてきているが、距離を保ちながら私を先導させてくれている。私たちはしばらくの間森の中を縫うように進んできたが、今、断崖を見下ろす巨大なオークの木のところで立ち止まった。ここからは下界の広大な景色が見渡せ、小さな村や町が朝日...