第541話

霧が私の腕の中で震えている。私はラベンダーを見つめながら言う。「今、何て言った?」

「アンブラ・モルティスが到着したわ」彼女はゆっくりと言い、目は恐怖で見開かれている。「彼がここに—城に向かっているの。もう間もなくよ」

人生が走馬灯のように脳裏を駆け巡る。彼にこんな状態の霧を見られるわけにはいかない。霧がレイシーの呪いを解いたことも知られてはならない。

「くそっ。くそっ、くそっ—」霧をぼろ人形のように放り投げるのではなく、優しくベッドに寝かせるのに全力を尽くす。ラベンダーはすぐに彼女の寝間着を着せ直す作業を引き継ぎ、私は部屋中を走り回り、クローゼットを開け、タンスから引き出しを引っ張り出...