第167話

エラ

コーラとの夕食の後、私はパレスの図書館を訪れた。シンクレアとの気持ちを整理する間、彼を避ける言い訳を探していた。妹のロジャーとの問題は気を紛らわせてくれたけど、私に必要なのは気晴らしだったのかどうか分からない。伴侶への怒りとフラストレーションはまったく収まっていないし、私たちの会話について深く考える機会もなかった。

私は本棚を漫然と眺め、実際に選書に注意を払うよりも自分の頭の中で考え事をしていた。やがて一番上の棚にヴァナラン歴史書を見つけ、好奇心が湧いた。この謎めいた領土についてもっと知りたいと思ったが、本は高すぎる場所にあり、近くにはどこにも梯子が見当たらなかった。もし伴侶がここに...