第192話

エラ

朝になっても状況は良くなっていなかった。少なくとも、故郷のムーンバレーに残っている人々にとっては—獣人も人間も同様に。日が経つごとに危機は深刻化し、占領地域から避難民が殺到し、死者数は増え続けている。この危機を解決する責任者の一人が私であるなんて、正気とは思えない。特に数ヶ月前まで私はただのナニーだったのだから。以前なら、このような出来事がニュースで報道されるのを見て、世界のリーダーたちが何をするのだろうと考えていたものだ…今や私自身がそのリーダーの一人なのだ。

私にできる最善のことは、一歩ずつ進むことだけ。難民たちに集中することで、サミットに対する義務を怠っているような気がすること...