第255話

エラ

「信じられない、どうして教えてくれなかったの!」コーラが文句を言いながら、私に殺すような視線を送る。私たちはロイヤル埠頭に集まっていた。ヴァナリウム製の船体に最先端の防衛・武器システムを搭載した船が波止場に係留され、乗組員たちは出発準備のために何百もの小さな蟻のように船の周りを忙しく動き回っている。一隻、最も小さな船はアルタラン諸島と私の母親のもとへ向かう。他の船はすべてデイモンと対峙するため故郷へ戻る。

誰も別れを告げたくないのだ。

シンクレアは私を腕に抱き寄せ、首筋に顔をうずめる。彼の狼が唸り声を上げながら私のつがいの印に軽く噛みつき、私が彼のものだということを何度も思い出させ...