第66話

エラ

追われていることに気づいた私は、マントを脱ぎ捨て、別の方向に進路を変えた。狼たちがまだ私を見つけていないことを願いながら。運が良ければ、ほんの少しの間だけでも追跡を振り切れるかもしれない。ランタンも投げ捨てた。月明かりが明るすぎるほど照らしているので、森の様子は十分に見える。雪も深いから、岩や枝を踏みつける心配もない。

両手でドレスの裾をつかみ、できる限り速く走る—今までで一番速く。右手に細い小川が見える。水が岸に沿って流れ、湯気を空中に放っている。この流れは石の円の周りにある池のように温泉なのだと気づく。私は一瞬、その水に飛び込むべきか迷った。暖かさに惹かれると同時に、水が自分の匂い...