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ニコ視点

廊下には誰もいない。衛兵たちが集まっているあたりから、何やら物音が聞こえてくる。

奴が壁に触れたのをはっきりと見た。俺はその壁の滑らかな表面を手でなぞる――あった、小さな膨らみだ。ボタンと言った方が近い。壁に塗られた灰色の暗いペンキのせいで、簡単には気づかないだろう。

俺はボタンを押し、壁――いや、ドアだな――が横にスライドして通路が現れるのを見守った。

こちらに向かってくる者はいないが、誰かが侵入してくることには気づいているはずだ。

一刻も無駄にはできない……

その暗い通路を抜けると、広いホールに出た。ここにはドアが二つしかない。

銃の撃鉄を起こし、突入する準備を整えたところで...