124話

「昨夜も言ったでしょう、リドカインの注射が苦手だって。この火傷は思い出させるんだ」

「何を思い出すの?」私は彼のこめかみに指先を這わせながら尋ねる。

彼は目を閉じ、左腕を何をしていいかわからないように盲目的に動かしている。

「手を私の脇に置いて。シャツを掴んで」

「お願いします、アルファ」

彼は手を私の脇に落ち着かせながら、かすかに言葉を発する。

「昨夜の階下では素晴らしかったわ。必要な痛みの緩和を受けることを自分で妨げないで」

「これは違うんです、アルファ。誓って言います。深い火傷で、それ以上のことは耐えられません」

「試してみる気はないの?」

「お願いします、アルファ。それはただこの記憶や...