143話

「その香りを持つ少女に何人出会ったの?」

ロジャーがそう尋ねるだろうと分かっていた。残念なことに、コールは首を横に振るだけだった。デルタであるロジャーは、これ以上追及しないことを知っている。

「申し訳ありません、アルファ。嗅いだものについてお伝えするつもりでしたが、私のやり方は間違っていました。あなたの息子を非難する権利はありませんでした。あなたが適切だと思う罰を受けるべきです」

彼の声は柔らかく悲しげだ。メロディとロジャーの顔に混乱が、アナベルの顔には悲しみが浮かんでいるのが見える。

「コール、君が厳格な規則に従っていることは知っている。それが私のメモの内容だ。できる限り君のルールに合...