60話

「ローリの友達です」

ヴァラが言うと、その女性は明らかに身体を強張らせた。

「そんな人は知りません」

女性はドアを閉めようとしたが、ヴァラは足でそれを阻止した。

「中に入らせてもらうわ」

彼女はそう言って家の中に入った。

「警察を呼びますよ」

女性は警告しながら家の中へと駆け込んだ。

ヴァラは周囲を見回した。素敵な家だ、フラー家は明らかに裕福な暮らしをしている人たちだった。

彼女は廊下を歩きながら辺りを見回し、以前より強くなったベビーパウダーの香りを感じた。しかし今、彼女は別の匂いも感じ取れた。間違いなく赤ちゃんの匂いだ。

女性は少しして、濡れた髪のバスローブ姿の男性と一緒...