97話

アレクサンダー

フィオナと僕のベッドでの時間は、もっと良い時もあった。でも今回のことには、何か満足感があった。お互いを焦らし、触れ合い、絶頂させる快楽とは違う形での満足感だ。

フィオナはいつも僕に対して心を閉ざしていた。彼女は感情を自分の奥底に埋めていた。結婚式の日、僕が彼女を奪い取り、自分のルナにしたその日から、彼女は僕のルナになることを受け入れてはいたが、同時に心の周りにしっかりとした壁を築いていた。

そして彼女の唇。彼女はまだ唇にキスさせてくれない。

僕はそのことを考えないようにしていた。考えたところで何になる?ただ彼女の心を掴むためにできることをすべてやるだけだ。ただ努力し続け...