第125話

ヘイゼル

私はちょっと不安を感じている。こんな格好で完璧なケン人形みたいな彼の隣にいたら、絶対に場違いに見えるだろう。アリスの言うことを聞くべきだったけど、今さら戻って着替えるには遅すぎる。だから、自分の服装なんて気にしていないふりをすることにした。

「行きましょうか？」と私は何気なく言いながら、助手席のドアを開けようとした。

「待って」デレクが命令口調で言い、私は驚いてドアハンドルに手をかけたまま固まった。彼が車の周りに回ってきて、私のためにドアを開けてくれた。

思わず小さな笑みがこぼれる。いつでも紳士なんだから。

私が車に乗り込むと、彼が安全ベルトを締めてくれた。バックルをい...