第82話

ヘイゼル

彼は数秒前まで空いていた私の左側の席に座っている。

「どうしてわかるの?心が読めるの?」私は本当に魅了されて尋ねた。

彼は判読不能な表情で私を見つめ、それはすぐに少年のような笑顔に変わった。

「ああ、だから考えることに気をつけるんだ。悪いことは考えないほうがいいぞ」

私は横目で彼を睨み、彼が心を読めるなんて考えを抱いたことが馬鹿らしく感じた。ただ、彼とデレクはいつも私が何を考えているのか、何を感じているのかを知っているように見える。たぶん私は自分の感情を隠すのが下手なだけなんだろう。

マイクのスイッチが入る音がして、私はステージに目を向けた。そこにはデレクと5人の男性が青いバ...