#Chapter 27 行かせて今すぐ。

レイチェル視点

ザ・レイト・レイト・ショーの楽屋にて

「――彼女を放せ。今すぐだ」

ネイサンはアルファの声を使って、タイラーに私を解放するよう命じた。タイラーが私の腕を離したことに、私は驚かなかった。他のアルファでさえアルファの命令に従うものだし、タイラーにはアルファに逆らう理由がこれまでなかった。彼の父親は、ネイサンが運命の伴侶との絆から生まれたわけではなかったにもかかわらず、生涯を通じて彼の尊敬を保ち続けていた。

私はネイサンに近づいたが、それはネイサンに近づきたいというよりも、タイラーから距離を置きたいという気持ちからだった。

タイラーは以前にも私に怒りをぶつけてきた。私たち...