#Chapter 98 アイ・ニード・キミ、タイラー

レイチェル視点

ムーングロー・パック - 客用キャビン

髪にブラシを通しながら、シャワーを浴びた後の気分の良さに集中しようとした。浴場は薄っぺらいカーテンが入浴者の間の唯一の仕切りとなっているシャワーブースだった。運良く、または訪問した時間帯のおかげで私一人きりだったけど、それは有難かった。

足元の排水溝に流れていく、肌から洗い流された血について話したくなかった。そんな会話が生まれる可能性を考えただけで、イライラしてブラシを投げ捨て、窓の前を行ったり来たりし始めた。

アートが女性用洗面所に入ってきて私を呼ぶまで、それほど時間はかからなかった。私は個人記録を更新して10分以内にシャワーを終...