第317話

驚いてしばらく呆然としたケイデンは、とっさに言い訳を口にした。「花が乾いてしまわないように何かしたほうがいいかと考えていたんです。このままだとすぐに枯れてしまいますから」

花に苛立たしげな視線を向けながら、ルシアンは数秒後に返答した。「好きにしろ」

ホッと安堵の息をつきながら、ケイデンは同意した。「それでは、後ほど花瓶に入れておきます」

ルシアンは黙って頷き、報告を続けるよう促した。

今度こそケイデンは自分を奮い立たせ、集中することができた。

報告を終えると、ケイデンは警戒するような目でルシアンを見て尋ねた。「ファーウェルさん、今花瓶を取ってきましょうか?」

しかし、ルシアンはすで...