第584話

ケイデンはそれを聞いて胸が痛んだ。

一方、エステラはルームミラー越しに期待を込めた眼差しで彼を見つめていた。

喉を鳴らし、ケイデンは無理に笑顔を作った。「ジャービスさんはファーウェルさんと一緒にいますよ。後で会えますから」

エステラの目は瞬時に輝いた。

振り向かなくても、エステラがどれほど喜んでいるかケイデンには感じ取れたが、この後彼女が見ることになるものを思うと心が沈んだ。

しばらくして、車は病院の前で停車した。

エステラはすでに黙り込んでいた。明らかに彼らがどこへ向かっているか気づいていたのだ。

ケイデンも体を硬くしながら言った。「着きましたよ、エステラさん。さあ、お連れします」

そう言...