第612話

フリーダが反応する前に、ロクサーヌはすでに針をオーブリーの肩に突き刺していた。

オーブリーの苦悶の叫び声を聞いて、フリーダは我に返り、恐怖を感じながらも二人の女性の間に立とうとした。

彼女が一歩前に踏み出した直後、何かを言う間もなく、彼女の手首に針が刺された。

激痛が一瞬で体中を走り、フリーダの頭は真っ白になった。本能的に彼女は手首を押さえしゃがみ込んだ。あまりの痛さに涙が止めどなく流れた。

「邪魔しないでください。これはピアソンさんと私の問題です」ロクサーヌは冷たく言うと、フリーダの周りを回って無表情でオーブリーの隣にしゃがみ込んだ。

フリーダの支えがなければ、オーブリーはまっすぐ立ってい...