第10章

古城美雪が「もう終わりだ」と思った瞬間、次の瞬間、男性の引き締まった力強い腕が彼女の細い腰を抱き留めた。

息が重なり、古城美雪は顔を赤らめながらも、まだ激しく鼓動する心臓が、北島神人に一目惚れした時のことを思い出させた。十三年前、十一歳の時、恐ろしい豪雨と暗闇の中で、彼こそが自分をこの世に連れ戻してくれた人だった。北島神人は古城美雪を支え直すと、なおも食い下がった。「まだ俺の質問に答えていないじゃないか」

「私たち二人はもう終わったわ。この質問に答える必要なんてないわ」古城美雪は冷ややかに笑い、慎重に階段を降りていった。北島神人に二度目の手を差し伸べる機会を与えないように。

「それに、...