盗まれた恋

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第104章

古城美雪は空っぽのリビングの真ん中に立っていた。部屋は静まり返っていた。

彼女は手探りで電気をつけ、声が切迫して掠れていた。「兄さん?いる?」

その時、寝室から微かに声が聞こえてきた。

古城美雪は胸が締め付けられる思いで、早足で中へ進みながら叫んだ。「兄さん!大丈夫?どこか具合悪いの?!」

「美……美雪ちゃん……来ないで!」古城蓮の震える声が荒い息遣いと共に聞こえてきた。

「兄さん!一体どうしたの?怖いよ!」

古城美雪の顔から一瞬にして血の気が引き、駆け込もうとした瞬間、ドアがバンと開いた。

薄暗い光の中、古城蓮は海から引き上げられたように全身びしょ濡れで、端正な顔は火照ったよ...