盗まれた恋

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第140章

「翔、どうしたの?」古城美雪は美しい瞳を見開き、少し驚いた様子だった。

印象の中の小林翔は、こんなにも惨めで哀れな姿を見せたことがなかった。目の縁は真っ赤で、唇は青白く、まるで土砂降りに濡れた、帰る家のない子犬のようだった。

「翔、北島美智子のことで来たの?」

古城蓮は落ち着いた足取りで古城美雪の側に歩み寄り、相変わらず穏やかな眼差しで、雪のように白い絹布で自分の長く美しい手を拭いていた。

古城美雪がちらりと見ると、白い絹布に点々と血痕があるのが目に入った。

はぁ、古城美雪は心の中でため息をついた。少し目を離したすきに、兄さんはやってしまったのね。

また一度、才能を披露する機会を...