盗まれた恋

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第18章

「最近特に祝うことがないな」北島神人は考えてみた。彼の誕生日までまだ一ヶ月ある。

「お前は偉い人だから物忘れが激しいな。計算してやるよ、お前の離婚を祝って、それから新婚も祝わないとな」堀内陽平の声は軽快で、北島神人のさっきまでの寂しさをかなり払拭した。

彼はちょっと躊躇してから、「わかった、今すぐ行くよ。いつもの場所か?」と言った。

「違うよ、俺の新しく開いた店だ。住所を教えるよ」電話を切ると、北島神人は秋谷健太に車の準備を指示した。どうせ今夜は屋敷にいたくなかった。

ロールスロイスが潮見荘園の近くを走り抜けようとしたとき、北島神人の眉がピンと張った。

「止まれ」

運転手はブレー...