盗まれた恋

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第32章

このスピードは速すぎる、さっき電話を受けるために席を外したときは、まだ電話から車の風切り音が聞こえていたのに!

「北島美雪、なぜここにいる?」北島神人は一振りの真っ直ぐな剣のように洋食レストランの入口に立ち、古城美雪に冷たく詰問した。

「私がどこにいようと、北島社長には関係ないでしょう?」古城美雪は顔をそむけ、自分の脆さを隠した。

「言ったはずだろう、離婚手続きはまだ完了していない。お前はまだ俺の妻だ」

妻?笑わさないでよ。

古城美雪は顔を向け直し、怒りで燃えるような北島神人の桃花眸と向き合った。普段は冷たいその瞳に、今やっと古城美雪の姿が映っている。

錯覚に過ぎない、と古城美雪...