盗まれた恋

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第35章

北島一夫をなだめた後、北島神人は後ろの散らかった部屋を気にせず、おじいさんを車椅子で階下へ連れていった。

北島美智子は後ろから切なげな表情で北島英一に向かって叫んだ。「英一」

北島英一は愛する妻のその姿を見て、心を痛めながらも渋々後を追って駆け下りた。

北島グループの三人の姿が見えなくなってから、北島美智子はようやく表情を一変させた。

「あのクソ雑種、子供の頃はおとなしく我慢してた畜生が、大人になってこんなに薄情で意地悪になるなんて。それからあのクソジジイ、いつ死ぬんだろう。二十年も虐げて、もう十分よ。いっそ本当に怒りで棺桶に入ってくれればいいのに」

「お父さん、行かないでください...