第9章

「おじいさん、だめです。これは受け取れません」古城美雪は断固とした態度を示した。目上の方からの贈り物は辞退できないものだが、彼女は北島神人との関係を清算すると決めたのだ。どうしておじいさんの物を受け取る面目があろうか。

「もう腕にはめたんだから、そのブレスレットは君のものだ」北島一夫は口をとがらせ、顔を横に向けた。まるで、あげたものは水に流したようなごろつきのような態度だ。

古城美雪は思わず笑みがこぼれた。老人が気持ちを変えるつもりがないことを悟り、受け取るしかなかった。

北島一夫はようやく笑顔になった。「そうそう、それでこそ。おじいさんの八十歳の誕生日には必ず来るんだぞ。そのブレスレ...