第35章

土曜日の午後、社員たちはリゾートのスタッフの案内で月亮湾の美しい景色を見学した。

午後ずっと、水原恵子は佐藤和也の姿を見かけなかった。夕食の時間になっても彼の姿はなく、心の中で不思議に思った。彼はまさか食事もしないのだろうか?

水原恵子の寂しそうな様子を見て取った伊藤美咲は、彼女の耳元で小さく笑いながら言った。

「どうしたの?少しの間会わないだけで、三年も離れていたみたいね?」

「やめてよ、ちょっと疲れただけよ」冗談を言われた水原恵子は伊藤美咲を軽く押した。

伊藤美咲はすぐに真面目な表情に戻した。

「本当に、あなた今日の午後ずっと歩き回ってたから疲れてるでしょ。早く休みに行きなさ...