第36章

「え?また J市に戻ったの?」水原恵子は一瞬、理解できなかった。

「奥様、他にご用がなければ、失礼します」電話の向こうのエリは通話を切った。

水原恵子の心は急に受け入れがたい気持ちでいっぱいになった。彼は昨夜2時に夜行バスで戻ってきて、今日の朝6時半にはまた出発したのだ。今日の朝も仕事があるとわかっていながら、なぜ往復4時間以上もかけて移動したのだろう?まさか彼女に会いに来ただけ?

そう考えると、水原恵子の心臓が激しく鼓動し始めた……

今日の朝食は豪華だった。牛乳も、お粥も、サンドイッチと小鉢もあり、まさに和洋折衷。美味しい食事を楽しみながら、彼女は佐藤和也のことを思っていた。彼女は...