第43章

水原恵子は佐藤和也の手にある所謂の結婚指輪をぼんやりと見つめていた。銀色の輪の上には星空のように眩しいダイヤモンドがびっしりと埋め込まれていた。確かに数カラットの大きなダイヤモンドは一つもなかったが、これだけの指輪でも相当な価値があることは彼女にも分かっていた。

「はめてあげるよ」佐藤和也は情熱的に水原恵子の手を取り、指輪を彼女の薬指にはめた。

その瞬間、水原恵子の胸は妙に高鳴った。彼女が顔を上げて自分の手を握る彼を見ると、彼は口元を緩め、とても優しい笑顔を彼女に向けていた。

彼がこんなに優しく笑うのを見たのは初めてだった。水原恵子はなぜか鳥肌が立つような感覚を覚えた。そうだ、そうだ、...