章 352

「別に許可がなくてもいいよ、この間抜けな猫に一言言っておくだけだから、分かった?」恐らく林隽に邪魔されたせいで、沈知辞の口調はやや苛立ちを含んでいたが、表情は真剣そのものだった。

「間抜けな猫は承知しました」林隽は目も口元も弧を描くように笑いながら、こっそりと自分を見つめる主人の顔を覗き見た。

「分かったなら手を出しなさい!」沈知辞は彼の頭を軽く叩いた。「つけてあげたら私は立ち上がるんだから。夫婦の対拝でもするつもり?」

林隽は慌てて主人に手を差し出し、その指輪が自分の指にはめられるのを見つめた。

沈知辞は指輪をはめ終えるとすぐに立ち上がった。林隽は深々と頭を下げ、「ありがとうございま...