章 632

私は妻を呆然と見つめていると、彼女が声をかけてきた。「ねぇ、何ぼーっとしてるの?」

二人で服を着て身支度を整え、ホテルを後にした。本当は隣の部屋に立ち寄って挨拶したかったのだが、妻が側にいたため機会がなく、結局何も言わずにホテルを出ることになった。

妻は幸せと満足感に満ちた表情で、甘えるように私の腕に手を回して歩いていた。「ねぇ、今回の部屋、結構お金かかったでしょ?私のボーナスと今月の給料が出たら、今日使ったお金、簡単に補填できるわ」

心の中で、気遣い屋の妻がまだそんなことを考えていることに感慨深くなった。私は話題を変えて妻に尋ねた。「さっき目隠しされてた時、本当に気持ち良かった?」

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