章 762

ドアを開けると、妻は屈んで靴箱からスリッパを取り出して私の足元に置くと、そのままキッチンへ急いで向かった。

妻は料理に忙しく、私が帰ってきた時の様子に気づいていない。

黙ったまま靴を脱ぎ、短パンとタンクトップに着替えて出てきた。息子はソファに座っておもちゃで遊んでいて、私が帰ってきたのを見るととても懐いてきた。私は息子と一緒にリビングで遊びながら、時折キッチンに視線を向けると、そこでは妻の姿が忙しく動いていた。

息子におもちゃで遊び続けるよう言い、今の妻の姿を見ていると胸が痛んだ。家では確かに妻が家事や料理、片付けをして、本当に良妻だ。

オープンキッチンの引き戸を開けて中の妻を見ていると、妻は...