章 146

林川は深く息を吸い込むと、一気に部屋のドアを蹴り開けた。すかさず隣にいた大男の首に腕を回し、強く引き寄せながら、手に握った割れたガラスの破片を相手の太ももに深々と突き刺した。

子供の頃から喧嘩で引くことを知らない林川だった。別に強いわけではない。あんな骨と皮ばかりの体で誰に勝てるというのか?要は林川が喧嘩で怖いのは、その無謀さだ。普通の人間が命懸けでやらないことを、彼はやってのける。

「ぎゃああっ!」

大男は悲鳴を上げ、太ももを押さえながら床に倒れ込んだ。血が恐ろしいほど流れ出している。

もう一人が反応し、二歩前に踏み出すと、林川の頭めがけて拳を叩き込んだ。「ごん」という音と共に、林川...