章 242

一度離れてしまえば、林川は家族との連絡を失うことを意味していた。

たとえ林川がどこかの片隅で死んだとしても、遺体が警察に発見されるまで、家族は知る由もないだろう。

一時間以上も銀行で手続きに追われ、林川は窓口で座りながら、カード番号を何度も確認していた。一つでも数字を間違えれば、全額が他人の口座に振り込まれてしまうという恐怖があった。最後には、行員の目には明らかに苛立ちの色が浮かんでいた。

「お客様、まだですか?後ろにも待っている方がいますが」

十数回確認した後、林川は頷き、バッグから現金を全て窓口に差し出した。

「二十三万、全部これに振り込んでください」

「あと、番号を入力する時に...