章 53

秦悦は額の前髪をかき上げ、しなやかで色気漂う姿で林川に近づくと、彼の腕を取りながら言った。「階段に気をつけて。私が支えるわ」

林川は何の疑問も感じず秦悦の細い腰に手を回した。この光景に王胖子は羨ましさで顔を歪め、まるで色欲に取りつかれたように、今にも涎を垂らしそうだった。秦悦の体に触れたことのある者だけが知っている——あの前に突き出し、後ろに張り出した魅惑的な曲線。彼女のためなら全てを捧げ、干からびても後悔などしないだろう。

王胖子はにやりと笑い、書類カバンを脇に抱えて中へ歩いていった。

林川は秦悦の体から伝わる柔らかさを心ゆくまで堪能していた。香り立つ彼女の匂い。彼女と一緒にいると、林...