章 606

彼はその場で固まり、携帯電話を持ったまま呆然としていた。林川がブルドーザーの下に駆け寄った時、彼の手の電話も繋がり、「もしもし」という声が聞こえてきた。

旭兄がブルドーザーに登り、男のこめかみに銃口を突きつけた。

しばらく反応がなく、電話の向こうの声が警戒し始めた。「どうした?てめぇに聞いてるんだよ」

男の額には冷や汗が浮かび、旭兄が目配せすると、彼は小さな声で口を開いた。「何でもないよ。外は静かだ。ただ交代してほしくて電話したんだ。もう限界で、眠くて仕方ないんだ」

電話の向こうの声は落ち着きを取り戻し、不機嫌に罵った。「ちっ、食うだけ食って働かねぇやつだな。いつも寝ることばかり考えや...