章 630

彼女は林川の上から立ち上がった。一糸まとわぬ姿で、その二つの堂々とした峰に、林川は目が眩むほどだった。林川だって欲しい、彼女以上に欲しいのだが、まだ理性が残っていた。今彼女を抱けば、それは獣以下の行為だ。たとえ後になって誰も林川を責めないとしても。

林川は立ち上がり、彼女をじっと見つめた。「俺は確かにお前が好きだし、一緒に寝たいとも思ってる。でも、こんな形でお前を傷つけるようなことは絶対にしない」

彼女は無表情で衣装ケースの前に歩み寄り、手当たり次第に一枚のパジャマを取り出して身につけた。

「小川、出て行って。ひとりになりたいの」

秦悦はそう言うと、静かにベッドの端に腰掛け、黙々と頬の...