章 810

何も言わずに、手で口を押さえ、脇にあったティッシュを掴んでトイレへと駆け込んだ。

林川の目の前には星が散らばっていた。あまりの気持ち良さに。

トイレからは彼女の嘔吐する音が聞こえてきた。三、四分経ってようやく顔を赤らめて出てきた彼女は、ついでに外にいた看護師のためにドアを開けてやった。看護師の制服を着た二人の若い女性が入ってきて、王姗姗を見て、それから林川を見た。

「拭きましたか?」

林川は頷いた。「ええ、始めてください」

王姗姗を見ていなくても、彼女の恨めしそうな視線を感じることができた。

幸い、二人の看護師は何も疑わず、入ってきてから林川に簡単な質問をし、何かを書き記して、部屋を出て行った...