章 893

長い間眠っていたところ、ぼんやりとした頭の中で鳴り響く着信音で目が覚めた。旭兄からの電話だった。時計を見ると、もう午前五時を過ぎていた。

携帯を耳に当てると、旭兄が重々しい声で林川に告げた。「小川、世紀城のほうにある凱旋会所だが、楊莉がそこにいる。連中と集まって薬物をやっているんだ」

やはり何か問題があったのか。旭兄の話を聞いて、林川の睡魔はすっかり消え去った。起き上がって服を着込み、洗面所に駆け込んで冷水で顔を洗った。かなり冷たかったが、上着を掴んで外へ向かった。

部屋を出ると、ちょうど浩子とばったり。この男はそっと動いて、林川に「シーッ」という仕草をした。

明らかに旭兄は浩子にも電...